ジリ貧限界薬局経営

つ、潰れる…

エピソード0

薬剤師になってはや15年。

結婚もせず、仕事一筋でやってきた。

(したい気持ちはあった時もあったが、なんだかんだ無理だと悟った。また別の記事で書けたら良いと思う)

 

地元の公立高校に落ち、滑り止めで受けた私立校で指定校推薦で薬学部へ難なく進学してしまった。ただ薬学部の莫大な学費は、親の貯蓄と収入を遥かに超えており、奨学金を借りまくり何とか工面してもらった。父、母よ…まじでごめんちょ。

そんな状況で留年なんてとても出来ず、なんとかかんとか現役卒業し、国家試験は一日12時間以上の勉強時間で半年死ぬ思いをしてなんとか受かった。元々金がない上に、熊が出るほどの山の中に大学があったので、(住まいも山中。よくタヌキと遭遇した)娯楽もなくバイトもできなかったことが、逆に功を奏したやもしれない。修行僧か。

 

そもそもなぜ薬剤師なのか。

中学生時代、近所のドラッグストアの広告の求人欄で時給が良いのを知ったから。以上。

病気の人を治したいだとか、薬に助けられたからとか高尚な動機は一切ない。時々、他の薬剤師の動機を聞いて意外と(?)まともなのでびっくりすることがある。みんな偉くて偉いな〜。

 

そんなこんなで無事、国家のお墨付きを頂いたが、実習に行った薬局があまりに機械的でつまらない所だったので辟易してしまい、薬局以外のことがやりたくて、治験の会社に就職した。そして調剤部門に配属され、薬局勤務となった。なんでやねん。

 

とりあえず働いてみたものの、場所柄か処方内容がほぼ固定で、湿布と鎮痛薬をロボットのように出し続け、うんざりして一年で転職を決意。

そしてやっぱり薬局は行きたくなくて、地元のそこそこ大きめの病院へ転職。仕事は楽しかったが手取り20万円を切っており、5年頑張ったが奨学金を返すと貯金が全くできず、将来が不安すぎた。それでもやっぱり薬局には行きたくなかったのと、給料の良いところを選択して調剤併設ドラッグストアへ転職した。希望しない職種だが、結局は金だ。

 

やはり金の力は強い。

たとえ会社が理不尽な要求をしても、金払いがいいからしゃーないかと思える。有象無象が跋扈するような職場だったが、なんとかやれた。ほぼ動かず奥で座ったままの爺さん薬剤師、患者に暴言を吐いて喧嘩を始める薬剤師、機械が全く使えず、しょっちゅうクラッシュさせる薬剤師、高額医薬品をミスって大量廃棄する薬剤師、遅刻常習犯で指摘すると逆ギレする薬剤師、会社の金を持ち逃げする薬剤師…。自分も人様を批判できるほど偉い人間でもないが、なかなか特殊な人間が多かった。

そのせいか、ふと不穏な考えが芽吹いた。

 

「こんなやばいのに高額年収出せるぐらい薬局経営ってイージーなんじゃね?」

 

今思えば愚かである。明らかに愚かだ。

確かに一つも動かない、逆にマイナスを発生させている社員に年収650万円を支払っている会社だが、真面目に働いている人間にも同じ額を保証している。

1番賢い方法は、プラスにもマイナスにも目立たずに頑張らずひっそりと生きていくことだったのだ。

地味に生きてきたせいで、へたに小金が貯まっていたのもいけなかった。そのままインデックス投資か何かしていれば良かったものを。

 

華々しく独立してしまった!

ぜんぜんイージーじゃ無いんですけど(泣)

 

後悔先に立たず。覆水盆に返らず。後の祭り。

これは、あほな薬剤師があほな思いつきで独立してしまったがために、自分を追い詰めていく経過を綴った物語である。

 

 

とりあえず、お金ください(T-T)